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プロジェクトの進捗に悩み、一人で抱え込んでいるPMやリーダーの姿を、私はこれまで何度も見てきました。
PMの隣にいた14年
私が会社員として過ごした約22年のうち、約14年はPMO(プロジェクト・マネジメント・オフィス)という役割を担っていました。
(PMOとは、プロジェクトがスムーズに進むよう、PMをサポートしたり仕組みを整えたりする専門組織のことです)
PMOといっても、その立ち位置はさまざまです。
- プロジェクトマネジャーの“上”に立ち、指示や管理を行う立場
- プロジェクトマネジャーの“横”で伴走する立場
- プロジェクトマネジャーの“下”で事務的に支える立場
私はその中でも、「PMの隣」にいるPMOでした。
PMOが導入された頃
私のいた医薬開発の組織でPMOが導入されたのは、2000年頃のことです。
当時の業界では、スケジュールが年単位で遅れることや、予算が大きく膨らむことは珍しくありませんでした。
「何とかならないか」
そう考えたトップの判断で、プロジェクトマネジメントという考え方が導入されました。
けれど、手法を入れればすぐにうまくいく、というものではありません。
現場には現場の事情があり、
トップにはトップの視点があります。
私たちは2名体制で、その間を行き来しながら、
「この組織にとって、本当に役に立つPMOとは何か」
を探し続けました。
立ち上げ当初のテーマは、スケジュールと予算の“見える化”でした。
精度が安定するまでに、3年ほどかかりました。
PMの隣で聴いてきたこと
なぜ遅れるのか。
なぜずれるのか。
原因は単純ではありませんでした。
PMからは、こんな相談が多く寄せられました。
- どの選択にも理由があり、こちらを立てればあちらが立たない。だからこそ、決断のあとにも迷いが残る
- 計画をどう立てればよいのか、確信が持てない
- トラブルが起きると、つい現場の努力で乗り切ろうとしてしまう
- ステークホルダーとの関係に悩み続けている
どれも、正解がひとつではないテーマです。
そしてそれらは、多くの場合、
PM個人の力量に委ねられていました。
私は、正解を押しつける立場ではありませんでした。
けれど、解決すべき課題があれば、責任をもって取り組んできました。
標準化の推進、会議体の整理、意思決定プロセスの設計、
MS-Projectの導入、PM教育――
必要であれば、仕組みそのものにも手を入れてきました。
PMの“上”から管理するのでもなく、
“下”から事務的に支えるのでもなく、
ただ、隣にいて、一緒に考える。
話を聴き、状況を整理し、必要な構造を整える。
その時間の中で、少しずつナレッジが蓄積されていきました。
最初はため息をつきながら相談してきたPMが、話をして状況を整理していくことで、
最後には笑顔で
「ありがとう。次はこうやって動いてみる」
そう言ってくれるのが、何よりの原動力になりました。
見えてきたこと
14年間、PMの隣にいて見えてきたのは、
プロジェクトがうまくいかない理由は、
「誰かが悪い」からではない、ということでした。
多くは、
- 判断するための整理が足りない
- 本音を話せる場がない
- 一人で抱え込みすぎている
そうした“構造”の問題でした。
その構造を一緒に見る人がいるだけで、プロジェクトの空気は変わることがあります。
優秀なPMほど、孤独です。
立場上、弱音を吐けないこともあります。
そんなPMの背負っている荷物を、ほんの少しだけ一緒に持つ。
14年間、私が大切にしてきたのは、そんなシンプルなことでした。
いま、私がしていること
会社員を離れた今も、私は同じ立ち位置にいます。
コンサルタントとして「こうすべきです」と指示を出すのではなく、
相談役として、隣にいる。
話を聴き、状況を整理し、
選択肢を一緒に考え、
必要であれば構造にも目を向ける。
プロジェクトマネジメントの世界は、
手法だけでは前に進まないことがあります。
そんなとき、いったん立ち止まり、
言葉にしてみる時間は、決して無駄ではありません。
私は、PMの隣に居続けてきました。
そして今も、その場所にいます。
「どこから手をつければいいのか整理したい」
「誰かに状況を聞いてほしい」
そんなときに、PMの隣で見てきた立場から
一緒に状況を整理することができるかもしれません。
