PMOのモチベーションはどこから生まれるのか

PMOの役割や具体的な業務については別の記事でまとめていますが、
本記事では「モチベーション」という視点から、PMOの仕事を考えてみたいと思います。

PMOの全体像はこちら

PMOはモチベーションを持ちにくい仕事?

PMOの仕事は、モチベーションを持ちにくい仕事かもしれません。
プロジェクトが成功しても、その成果がPMOに向くことはあまり多くないからです。

会議を整えたり、情報を整理したり、進捗を可視化したり。
プロジェクトがうまく回るように環境を整えるのがPMOの役割です。

だからこそ、
「PMOの成果とは何か?」
と聞かれると、少し言葉にしにくいところがあります。

私自身も、PMOとして仕事をする中で、そんなことを考えた時期がありました。

PMOの本質は信頼関係にある

私は製薬会社に約22年勤め、そのうち約14年を医薬品開発のPMOとしてプロジェクトの支援に携わってきました。

PMOの仕事は多岐にわたります。
進捗管理、会議運営、資料作成、仕組みづくり。

その中で、私が一番大切にしてきたことがあります。

それは
「ひとりひとりの話を聴くこと」
そして
「相談されたら必ず動くこと」です。

しっかり話を聴くことは、本当のニーズを理解することにつながります。
そして、そのニーズに応えようと動くことで、少しずつ信頼関係が生まれていきます。

プロジェクトでは、進捗報告ひとつをとっても、信頼関係がなければ正確な情報は集まりません。

むしろ、正直な進捗をPMOに報告すると「告げ口」されると感じさせてしまうと、
「都合の悪い進捗はまだ言わない」という状況は、簡単に起こりえます。

進捗の裏側にある事情や困りごとを感じ取り、話を聴く。
もし困っていることがあれば役に立ちたい。

そんな想いでPMOの仕事をしてきました。

もちろん、私ひとりで解決できる問題ばかりではありません。
けれど、解決できる人に橋渡しをしたり、一緒に考えたりすることはできます。

そうした経験を重ねる中で、私はPMOの本質は信頼関係なのではないかと思うようになりました。

では、その信頼関係をどう築くのか。そこで行き着いたのが『聴くこと』でした。

「話を聴く」ことを学び直した9年目の決断

PMOとして9年目を迎えた頃、私は一つの壁にぶつかっていました。

現場を支えたいという一心で動いていても、
理屈や仕組みだけでは解決できないもどかしさ、
プロジェクト現場の人たちとの、どうしても埋められない溝を感じていたのです。

プロジェクトの現場には、関わる人の数だけそれぞれの『正しさ』があります。

本当に必要なのは、解決策を提示することの前に、まず目の前の人の『話を聴く』ことではないか。

そう考えた私は、「話を聴く セミナー」といったキーワードで必死に検索を重ね、ある講座に辿り着きました。

それが、「産業カウンセラー養成講座」です。

期間は約7か月、学習時間は160時間を超え、費用も約30万円。

単なる「お試し」で受講するには決して低くないハードルでしたが、
申し込み締め切りが迫っていたこともあり、
「今の自分にはこれが必要だ」と直感して自費で飛び込みました。

この決断は、その後の私のキャリアだけでなく、人生そのものに大きな影響を与えることになります。(この時の具体的なエピソードは、また別の記事で詳しく書きたいと思います)

一見、PMOの仕事とは無縁に思えるカウンセリングの学びですが、プロジェクトの現場で痛感したのは、「人は正しい説明だけで動くわけではない」という現実でした。

どんなに状況を整理し、仕組みを整えても、それだけでは問題は解決しません。

  • 相手がいま、何を考えているのか
  • 何に困り、何を大切にしているのか

まず、それを真っさらな心で聴くこと。

すると、それまで頑なだった相手の顔がふっと緩み、本音を話しだしてくれることがよくありました。

結局、プロジェクトを動かしているのは
『人』なのだと、そのたびに実感します。

PMOはプロジェクトをつなぐ「懸け橋」

私は、PMOは支える仕事であると同時に、
「懸け橋」のような存在だと思っています。

プロジェクトの現場では、それぞれのチームが自分たちの仕事に集中しています。
その結果、隣のプロジェクトで起きていることは見えにくくなります。

PMOは複数のプロジェクトに関わることが多いので、隣のプロジェクトの成功体験や失敗体験を知る機会があります。

それを単なる個人の経験としてではなく、中立的な立場で整理し、ナレッジとして共有することができます。
そして、その経験を標準化や仕組みづくりにつなげることもできます。

まさに「プロジェクト間の懸け橋」です。

また、PMOは上層部との間でも、橋渡し役になることがあります。

PMが直接言いづらいことを、それとなく伝えたり、
逆に上層部の反応を少し早く感じ取ったりすることもあります。

ときには、PMの正式な報告の前に上層部の反応を見て、
「こういう観点で説明しておくとよいかもしれません」と
PMに伝えることもあります。

そうした小さな調整の積み重ねによって、PMも上層部も余計なストレスを感じずにプロジェクトを進めることができるのではないかと思います。

PMOのモチベーションとは

PMOの仕事は、決して目立つものではありません。

けれど、
・沈黙の多かった会議が「前向きな議論」に変わったとき。
・トラブルが起こったとき、みんなで協力しようという雰囲気になったとき。
・PMから、「実は…」と本音の相談を打ち明けられたとき。

そんな小さな変化を感じる瞬間があります。

人と人の間に橋がかかったような瞬間です。

PMOの仕事は、数字や進捗を管理することだけではありません。
人と人、経験と経験をつなぐこと。
プロジェクトの中と外に「橋」をかけること。

派手な仕事ではありませんが、その「橋」があるからこそ前に進めるチームもあるのだと思います。

PMOのモチベーションは、
目の前の人との信頼関係の中で生まれる、小さな変化の積み重ねにあるのだと思います。

もし今、自分の役割に迷っているPMOの方がいたら、まずは目の前の誰かの「話を聴く」ことから始めてみませんか。

※PMOの役割や業務について整理した記事もありますので、あわせてご覧いただけると理解が深まるかもしれません。
PMOとは?何をしている人かはこちら

※あなたにとっての「PMOのモチベーション」は何ですか? ぜひ、コメントで感想を聞かせていただけたら嬉しいです。

※プロジェクトの現場で感じたことは、これからもこのブログで書いていきたいと思います。
同じカテゴリの記事はこちら → 「プロジェクトの現場から

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